こんにちは、acaaの坂井です。
今回は年末にお引渡しをした、鎌倉のHouse-Kの竣工レポートです。

まずは、外観です。
車通りの多い道路に面しているため、前面道路に対しては窓を絞り込み、
外壁仕上げである焼杉の縦張りに合わせて、
縦長のスリット窓をリズミカルに配しています。
窓に青空が写り込んでいるのが綺麗です。
陸屋根で、割とボリュームのある建物ですので、
外壁の焼杉の保護も兼ねてアルミの庇をぐるっと回し、
アルミの庇で面を分割することによって、
景観として建物のボリュームを和らげる操作をしています。

今回は植栽・造園をトクゾウさんという、
いつもお世話になっている造園家の方にお願いしました。
建物と道路の隙間に下草や低木を植えて頂きました。
車通りの多い道路との緩衝帯として重要なお庭です。
焼杉は緑が映えますねぇ。
ちらりと紅葉の前に写っているのは、おなじみの製作のポストです。
インターホン、ポーチ灯も兼ねた優れものです。

外部のステップや床には、敷瓦を敷いています。
既製品のタイルとは違ったムラや表情が楽しめる商品です。
紅葉の落葉が敷瓦に彩りを添えてくれて、小さな幸せを感じました♪

こちらは、家の中心にある中庭の風景です。
手前に見えているコンクリートで製作したベンチです。
玄関の手前にあるので、少し腰かけて井戸端会議をしてもいいですし、
ゆっくり靴を脱ぎ剥ぎしたり、庭を眺めるのもいいですね。
庭は丘になっていて、大谷石のステップを上がると、
2Fのダイニングりリビングに直接アクセスすることもできます。

丘はぎっしりと玉竜が植えられており、ところどころススキや山野草が。
主役の紅葉は、造園家の方にいい樹形を選定して頂きました。
中庭は、わら入りモルタルを採用しています。
今年とれたてのわらを刻んで入れて頂きました!
木鏝で押さえているので、左官屋さんの手の跡が自然な表情を出しています。

玄関を入ると、路地に面して畳の小上りがあります。
床座の空間なので、開口部は低く抑えています。
窓の向こうには、シダや苔が生えている天然の崖があり、
しっとりとした路地空間になっています。
洗面・浴室に行くには、この路地を通ることになります。
旅館でも外部通路や路地を通って温泉に行く動線が見られますが、
それが家の中で叶います(笑)
湯上りにはここで涼んだり、夏には外で花火をしたり、
井戸で冷やしたスイカを食べたり、昔からある日本の縁側が実現できそうです。

先ほどの路地の突き当りを左に曲がると、洗濯置き場、トイレ、ウォークインクローゼットが並ぶ穴蔵空間が!
照明は建築工事で作ったニッチに、小さな電球を仕込んでいるだけの暗ーい空間です。
ちなみにわざとやっていますよ。
祠のイメージで、ニッチに仏像を置きたくなります(笑)

その先には、子供部屋がと主寝室があります。
カウンター、本棚、服や荷物をかけるパイプが用意されているだけで、
最低限の棚や机がガイドラインとして作り付けられいるので、
その他はお子様がカスタマイズしやすい空間になっています。

薄暗くて、ウェットな空間とは裏腹に2Fは開放的で明るい空間になってます。
このメリハリが、acaaの建築です。
外部のデッキ伝いに回遊動線となっていて、外部を通らないとアクセスできない2畳ほどの離れもあります。

もう少し引いた写真はこんな感じ。
右手がキッチンダイニングです。

窓の向こうにはお隣の視線を、格子で程よく遮りつつ、
山の借景が見えるようにコントロールしています。
格子があることで、気兼ねなくデッキ空間を楽しめたり、
窓を解放することができます。

実はこのお家、屋上があるのです。
写真は屋上から中庭を俯瞰した写真です。
家の構成がわかりますでしょうか???

お引渡しの時に発見したのですが、屋上から富士山が見えました!
御祖母様の代から住み継がれている敷地でしたので、
お施主様のお母さまが思い出したように、
昔は家の2階から富士山が見えていたと教えてくださいました。
いつの間にか高い建物が建ったり、住宅が密集して見えなくなった富士山が、
新しいお家でまた見えるようになったということを知って、
最後にご褒美をもらったような、なんだか感慨深いものを感じました。
代々住み継がれている鎌倉の素敵な敷地で、
新たなお住まいのお手伝いができましたことを、大変光栄に思いました。
この度はご依頼を頂き、ありがとうございました。