2025年、あけましておめでとうございます!
本年もacaaを皆様どうぞよろしくお願い致します。
お久しぶりの投稿になる坂井です。
2024年は色々と新しいお仕事を頂き、挑戦の年でした。
コロナ禍が明け、日本のインバウンド需要が高まっている昨今、
弊社でも、インバウンド向けのホテルのデザイン監修が、
只今、都内で2件程進んでおります。
インバウンド向けホテルにおけるマーケティングや、
民泊事情、さらには「Not a Hotel」等の新たなビジネスなど、
周辺の情報を知るよい機会となり、
また、いつもとは違うご関係者様とのチームワーク作業で、
とても刺激的な時間を過ごさせて頂きました。
弊社では以前から、3D CADを導入しており、
今回のようなデザイン監修の場においても、
協力会社様との強力な共有ツールとして、力を発揮しています。
ホテルの販促のためのCGパースやムービー等も、
新しい専用のソフトを導入して、作成に取り組んでいます。
そのために、事務所にはハイスぺパソコンがずらり!
NVIDIA万歳\(^^)/ もう少し安くなりませんか\(^^)/
昔は、模型を夜な夜な作っておりましたが、時代はDX!
新しいお仕事に日々挑戦していきたい所存でございます!
さて、ここからは私が担当しておりましたHouse-Kの竣工レポートと参りたいと思います!
まずはアプローチから。
玄関扉の手前に、木製の格子戸をセキュリティーも兼ねて製作しております。
木製の引き戸はかなり重量があり、今回は防犯ガラスも間に挟んでいますので、
レールは重量タイプのハンガー式でソフトクローズタイプを選定しました。
これで、開け閉めも安全に、快適に。
こちらは夕景。
格子の木製引戸は、こちらでディテール図面を引いて、
建具屋さんに製作頂いた、100%オリジナルです。
手を掛ける場所は塗装が剝がれやすいので、
目立たないように黒のアルミチャンネルを仕込んでいたり、
お施主様の希望であるカエルのアイアンアートを取り付けるために、
作品のサイズに合わせて、引き戸の横桟の位置を調整したり、
格子をそこだけ切り抜いたりと、細かな調整をしております。
玄関の前には、建築の基礎の延長で作ったベンチがあります。
玄関の鍵を開ける際に、荷物を一時的に置けたりします。
ベンチはコンクリートですが、角を丸くして、座っても痛くない配慮をしています。
こちらは中庭です。
弊社ではよく採用する手法ですが、基礎工事で出た残土を利用して、
庭に築山を作り、自ら地形を作っています。
中庭の丘を登った先には縁側があり、さらに向こう側に子供部屋があります。
玄関を通らず、子供部屋に行けるショートカットルートがあるのは、
子供心には、ぐっときそうです。
私の子供時代にも、近所に縁側のあるおうちがあり、
そこは大人の知らぬ間に自由に遊びに出入りでき、遊びに行きやすかったので、
こういったことは、以外に子供の心理的に重要だったりするのではと思うことがあります。
現代のnLDKのおうちでは、難しいですが。
左側の階段を昇れば中庭からキッチンへ。
さらに階段を上ると2Fテラス→一番奥の部屋にもつながっており、
らせん状につながるスキップフロア構成になっています。
この2Fテラスへアプローチする階段はお施主様のご提案で、
最初のプレゼンテーション時にはなかったものになります。
この階段ができることによって、キッチンから2Fテラスへの導線が短くなり、
テラスに椅子やテーブルを出して、ゲストや家族と食事をする等、想像が膨らみ、
生活と外部空間がより密接なものへとなりました。
空間も1つの導線によってつながり、構成的にもかなり面白くなりました。
こちらが2Fテラスです。
テーブルや椅子を広げるにも余裕のある広さがあります。
夜は、都会的な夜景も楽しめます。
さて、ここからは内部空間です。
こちらは玄関です。
左手には、座って靴を履けるようにベンチを製作。
壁の仕上は、銀もみが紙という和紙を貼っています。
光を受けると鈍く光る昔からある伝統的な素材です。
濃紺の壁は漆喰壁で、左官職人さんに調合して頂いた色です。
こちらは暗い色にはなりますが、
黒とは違い、濃紺は深海ように奥行感を感じる色なので、
その効果を狙って、よく使います。
正面のRに仕立てた壁にはニッチを作り、飾り棚としています。
また、組子障子と丸窓をどこか作りたいというご要望を頂きましたので、
R壁のエンドに組子障子をはめ、障子の向こう側に半円状の丸窓を作り、
中に照明を仕込んで丸窓を浮き上がらせる演出をデザインしました。
なかなか普段は使えませんが、組子障子を入れることによって、
空間の解像度がぐっと高まった気がします。
柄も多種多様にあり、既成サイズですと手が出せない程、高額ではなかったので、
またどこかで機会があれば使いたいと思いました。
こちらは、通常であれば、階段の踊り場に当たる部分ですが、
4畳ほどの空間を取り、ここも1つの居場所として作っています。
ソファーに座れば、窓から中庭が見え、リビングから程よい距離にありますので、
読書をしたり、昼寝をしたり、1人で静かに過ごす場所としてぴったりです。
右手は縁側、左手は子供部屋になります。
お施主様のご要望で、ボルダリングの壁と雲梯を設置しました。
建築工事で下地を入れておいて、あとは専門業者の方に設置して頂きました。
子供部屋は天井高さが3m程ありますので、見ている方は怖いですが、
垂直の壁なので、難易度はこれでも易しめなのだとか。。
こちらは、ダイニングキッチン。
右手には、中庭を見渡せる大きな大開口があります。
こちらの窓も図面を引いて大工さんにつくてもらったオリジナルの窓になります。
ちなみに、キッチン家具もシステムキッチンではなく、
こちらで図面を引いてデザインしたオリジナルです。
製作ですので、引き出しの奥行や高さ等も、
ご希望があれば、細かくヒアリングして自由に作成することができます。
ダイニング横にある階段を上がると、ソファースペースが広がります。
この階段も昇降の手段だけではなく、座ったりもできるので、
人が集まったときには、居場所になります。
こちらがソファースペース。
休日は、家族でソファーに寝転がって体を休めることが多いという話から、
数人寝転がることもできるソファーを造作家具で作りました。
天井はソファーに向かって低くなっており、
座ったときに居心地のよい高さになっています。
天井高さは高いところで190cm、一番低いところで150cm程度です。
数字だけ聞くと低すぎるのでは?!と思われるかもしれませんが、
実際に座ってみると、不思議とちょうどよいですよ。
このあたりもかなり意図的に設計しています。
ソファーの正面には、大型TVを壁掛けに。
ソファーで横になり、映画を見ながらゆっくり過ごせそうです。
TVの横の時計も、弊社オリジナル。
左官壁を背景にした時計で、空間に溶け込んでいます。
大き目に作っているので、リビングダイニングのどこからでも時間が確認できます。
天井は天然の木目シートを貼っています。
Rの複雑な形の天井なので、貼るのに苦労したそうです。。
ソファーの間から振り返りの写真です。
右手の壁は、見事な特殊左官仕上げ。
お施主様と左官職人さんでイメージをすり合わせて完成した力作です。
はじめは版築壁の予定でしたが、
途中から私たちの手を離れ、お施主様にディレクション頂きましたので、
私たちも完成するまでどんな壁に仕上がるのかドキドキでした(笑)
とても躍動感のある、力強い壁が完成しました!
左官壁の渡り廊下を抜けると、障子に囲まれた4畳半程度の空間があります。
どの部屋からも距離感があるので、一番静かに過ごせる空間です。
上げ下げ障子に3方囲まれており、
夜は中庭やリビングから見ると行燈のように浮かびあがるようにデザインしています。
ゲストルームとしても利用できますし、
テレワーク等、仕事スペースとしても使える空間となっています。
入口は躙り口のようなRの開口となっています。
左官壁は室内まで連続して、色が変化しています。
1Fに戻りますが、こちらが主寝室です。
L型にカウンターをまわして、ちょっとした書き物や読書もできるようになっています。
アルミサッシは障子で隠れるようになっており、窓からは庭の緑が楽しめます。
正面の壁は写真では分かりにくいですが、土壁の割れ壁です。
白い壁も調湿性のある和紙ですので、安眠できそうな空間に仕上がりました。
最後に、こちらが洗面・浴室の水回りです。
洗面右手には、製作で作った2連のバスタオル掛けがあります。
家族4人分が干せて、大判のバスタオルでも広げて干せるように設計しています。
浴室にも製作で物干しパイプを計画して部屋干しも可能に。
モザイクタイルはお施主様に選定頂いたものです。
洗面から浴室にタイルが連続するようにFIX窓もこちらでデザインしています。
浴室の外には、造園家に作庭頂いた坪庭があり、
照明はろうそくの火のようにゆらぎを再現した行灯が置かれています。
浴室のダウンライトには調光がかかっていますので、
明りを絞って、行燈の光で入浴すると一日の疲れがゆっくりと癒えそうな空間に仕上がりました。
いかがだったでしょうか。
こちらのおうちは、設計中に色々とお施主様から頂いたご要望をきっかけに、
私たちのアイディアもどんどん発展していたおうちでしたので、
設計中も楽しくお仕事させて頂きました。
お施主様とは、とても良い意味で協業できた住宅となったと思います。
この度はこのような機会を頂き、ありがとうございました。